Stories
Moheim Own Story

須長檀

「BRICK STANDは、ある偉大な芸術家に海岸で拾われた石のような存在」
須長檀(ディレクター/デザイナー)
須長檀

軽井沢を拠点にディレクター/デザイナーとして活動し、北欧家具などを扱うショップのオーナーでもある須長檀さんのMOHEIM OWN STORY。


MOHEIM OWN STORY vol.16

須長檀 (Dan Sunaga) story

—— 須長さんがご自身のお仕事としているものづくりやデザインに関して、大切にしていることはなんでしょうか?

「幸せなデザイン」です。子どものような心、身体の中から湧き出る衝動を大切にしています。ものをつくる・デザインすることを楽しむこと、そして、その喜びを他者と共有することも同様です。

—— では、インテリアアイテムを選ぶときはどうでしょうか?

アイテムを選ぶときは、反射的判断と放任的時間を大切にしています。失敗を恐れずに直感を信じることですね。逆にどこに飾るか、何と組み合わせるかは時間が経つのを楽しみ、使っていくうちに自ずと決まっていくのを待ちます。

須長檀 (Dan Sunaga) story

—— 自分の家やオフィスなど空間を作り上げる上で自分らしいと思うところを教えてください。

楽しむこと。それは過程であること。そして、完成させないこと。大胆に、思いついたら試してしまうこと。これが空間を作り上げる上で自分らしいと思う部分ですね。

—— MOHEIMというブランドへ持っているイメージや感想をお聞かせください。

スタンダードという言葉が溢れてしまった現代において、その言葉に真摯に向き合いデザインを行なっているブランドだと思います。

須長檀 (Dan Sunaga) story brick stand

—— BRICK STANDを店先で使用してくださっていますが、どのような印象でしょうか?

この傘立ての良さを言葉で伝えるのはとても難しいと思います。うまく伝わるかどうか一抹の不安を抱えながら例えるとしたら、この傘立ては、ある偉大な芸術家に海岸で拾われた石のような存在ではないかと思うのです。その偉大な芸術家に拾われる以前の石は、あくまでもその辺りに転がっていた石でしかありませんでした。しかし、偉大な芸術家に拾われた以後の石は、アトリエで作品として存在しています。

このようにこの傘立ては、傘を差し込む以前と傘を差し込んだ以後の存在の変容の差異が魅力なのだと思います。まるで芸術家に見出さられ、アトリエに飾られた石のように。

作り手の主張が完膚なきまで消去されたプロダクトが放つ存在感は、まるで海岸の石のような状態であるようでありその存在をすっかりその空間に馴染ませています。そして傘を差し込まれるその瞬間に、芸術家に拾われた石のようにその存在が輝き始めるのです。

須長檀 (Dan Sunaga) story

—— SHOEHORNについての感想やお客様の反応はいかがでしょうか?

道具の中には、ごく稀に、生活の中にそっと潜んでいながら、昔ながらのカタチを持ち続けているモノがあります。例えば、“靴べら”がそうです。さまざまなバリエーションはあるとしても基本的なカタチは変わりません。長細い柄と先端が踵の円弧に合わせて緩やかなカーブを描くそのカタチが基本的に変わらないのは、人体のカタチに合わせた円弧であると同時に、長細い“靴べら”の強度を保つのにとても合理的なカタチをしているからです。そのように機能と道具としての合理性がとてもシンプルに組み合わさった“靴べら”は、単純で明快で道具としての魅力を持ち合わせています。“靴べら”だけの展覧会があったら、必ず観に行きたいと思います。

MOHEIMの“靴べら”SHOE HORNはバルカナイズドファイバーという素材でできています。「硬く粘り強い」「割れにくい」「耐熱性」「電気を通さない」「生分解性が高い」など優れた特徴を持ち、引張強度は合成樹脂より優れているそうです。SHOEHORNは、この紙のような素材を踵に合わせて曲げる“靴べら”の特徴的なカタチを継承しながら、しなやかな素材の特性を生かして作られています。

私たちは、lagomの更衣室でこのSHOE HORNを使っていますが、使いやすく、お客様にも好評です。

須長檀 (Dan Sunaga) story shoehorn


Profile

須長檀 (Dan Sunaga) Profile
須長檀

1975年スウェーデン生まれ。家具デザインを学ぶためにスウェーデンの大学に留学・卒業後、sストックホルムの王立美術大学「KONSTFACK大学院家具デザイン科」に進学。在学中からデザイナーとして活動をはじめる。大学院を卒業後はスウェーデンの小さな港町ヨーテボリに「SUNAGA DESIGN STUDIO」を設立。コーヒーテーブル「ITOMAKI」や「NEWTON」が北欧のファニチャーフェアで最優秀賞を受賞。帰国後は軽井沢に「SUNAGA DESIGN」を設立。

2009年「NATUR terrace(ナチュールテラス)」を開店。2016年より障がい者就労支援施設内にあるデザインブランド「RATTA RATTARR(ラッタラッタル)」のクリエイティブディレクターに就任。2021年に御代田MMopに「lagom(ラーゴム)」を開店。2022年「konst」を設立。

2005年より公共劇場専属舞踊団 noismの舞台美術を手がける。Nordic Design Awardなど受賞多数。

https://sunagadesign.com/
https://www.instagram.com/lagom_miyota/
https://www.instagram.com/natur_karuizawa/