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LINDEN BOX

持ちやすく、重ねやすいLINDEN BOXは、収納として活躍するのはもちろん、専用のフタと組み合わせると使い方が広がるスタッキングボックス。
潔いシンプルな直方体の箱ながら、そのディテールが上品なたたずまいを実現しています。
クリエイティブディレクター・竹内茂一郎が語るのは、細部にまでこだわった開発秘話です。
LINDEN BOX

 

どこで、どうやって使おう?

考える時間さえ楽しくしてくれるLINDEN BOX
落ち着いたカラーリングと真鍮ビスで上質さをまとったボックスは
収納だけでなく、棚に、トレイに、サイドテーブルに…と使い方はさまざま。

シンプルな箱でありながら、置くだけで絵になるたたずまいは、
インテリアの一部として見せたくなります。

 


PRODUCT STORY Vol.6

—— LINDEN BOXの「LINDEN」という単語なんですが、どういう意味なのでしょうか?

LINDEN BOXは、家具などの素材としてよく使われているシナノキを原材料とした「シナ合板」を使ったボックスです。

「LINDEN」という単語、実は「シナノキ」の英語名。つまり、「LINDEN BOX」は、単純に「シナノキの箱」をシンプルに直訳しただけの商品名なのです。

リサーチしていくなかで、シナノキが英語では「LINDEN」と言われることを知り、その響きや語呂が気に入って、そのままアイテム名にすることにしました。

—— LINDEN BOXをMOHEIMのアイテムに加えようと思ったきっかけを教えてください。

私自身が「シンプルで便利な木の収納箱があったらいいな」と思ったのがはじまりです。

いろいろな収納箱が市場にはあふれています。でも、ロゴがあしらわれていたり、絵柄がプリントされていたり、イラストつきのものであったり…と、シンプルなものは探すのが難しいと感じていました。

プラスチック製のものもかなり多種多様なものが販売されていますが、その素材感ゆえに「隠す収納」として使われることが前提になっているのではないでしょうか。

見えないところに「隠してしまう」ものではなくて、部屋に出しておいてもサマになって「見せたくなる」もの、さらに木のぬくもりも感じられる収納ボックスをMOHEIMでつくりたい、と思ったのがきっかけです。

—— デザイン面でどんなところにこだわりましたか?

まず1つは、落ち着いたカラーリングです。これは他のMOHEIMのプロダクト全てにも共通することでもあります。少しスモーキーな印象やパステルの雰囲気をまとわせたpink やgray に、オーソドックスなwhiteと濃いめのnavy、さらに木のあたたかみがそのまま感じられるnaturalの5色展開にしました。

側面に現れるネジを真鍮製にしたこともこだわりの1つです。組み立て式の単純なボックスは、必ず側面からネジを使って箱を仕上げることになります。商品によっては、そのネジ頭を隠すためのシールなどが付属しているものもあるはずです。

でも、ネジ頭をデザインとして活かせばいいのでは…と考えました。真鍮の色味や素材感が、本来なら不格好で隠したいと思わせるネジ頭を、上品なデザインのアクセントに変えてくれています。

また、正面から小口(板の断面)をそのまま見せることもデザインに取り入れたいと思ったことの一つです。

—— その小口を見せるという点が素材についてのこだわりにもつながったのでしょうか?

断面に注目していただくと分かるのですが、美しいストライプ模様になっていると思います。これは、表・裏・芯板すべてにシナ材が使われている、シナ共芯合板を使っているからです。合板のなかでも、良質で加工性がよく、反りも少ない材になります。一般的な合板は、芯材にラワンなどを使っているのですが、これと比べるとシナ共芯合板は、見た目も素材感も全然違うのです。

さらに、福井県の伝統工芸・越前漆器の中でも、河和田塗りとして有名な河和田地区の職人が丁寧に仕上げるからこそ、この断面の美しさが際立ちます。安価なラワン材では絶対にできません。この共芯合板と滑らかに仕上げる技術との出会いがあったからこそ、このボックスを作ったと言っても過言ではありません。また、断面のストライプと触り心地を楽しめるよう、この部分はあえて無塗装のままにしています。

実際に、展示会などでは、来場者のみなさんがこの小口を触っていきます。スムースな手触りが心地よく、木のぬくもりや優しさを感じるんだと思います。カラーリングと真鍮のビス、それと木の素材感で、LINDEN BOXはインテリアになじむ「見せたくなる」ボックスになったと思います。

—— 機能面ではどうでしょうか?

上部が開放されたボックスとして使えるのはもちろんですが、オプションとして販売されているフタを使えば、LINDEN BOX は箱以外の用途にも使うことができるようになります。

好みの高さに組み合わせて、いちばん上にフタを使えばサイドテーブルとしても使えます。ですから、リビングのソファや、ワーキングスペースのデスクまわりでも活躍してくれます。

ほかにも、スタッキングして壁際に置くことでチェストにもなりますし、Sサイズは浅いのでそのままでトレイのように使うこともできます。

組み合わせによってニーズに合わせた使い方ができるので「LINDEN BOXをどうやって使おうか…」と考える楽しみを、使う人に与えられればいいなと思っています。

—— 開発の段階で、難しかった点やこだわった点などはありましたか?

ナチュラル色については、シナ合板特有のやさしい木目や色味がそのまま表面に出て、ぬくもりが感じられるのがとても良い点です。ただし、クリアの塗装をすることで、塗装前には分からない、木地本来の色味が表に出ます。これは自然である証でもあるのですが、黄色っぽい色味になったり、赤みが強く出たりするのです。

これを「自然のものだから」と色味がバラバラの組み合わせになってもよしとはせず、1つの箱として組み立てたときに色合いができるだけマッチするようにパーツをセットにしています。

—— ほかにも「こんなところにこだわった」ということはありませんか?

組み立て式にしたことも、非常にこだわりました。まずノックダウン式にすることは、配送のことや、販売店の在庫収納のことを考えると必須でした。特に海外への出荷のときに、パッケージをコンパクトにすることは大きなメリットとなります。海外の販売店からLINDEN BOXの取り扱いを検討したいという問い合わせがあった際に、この商品がノックダウン式のものになるとお伝えすると、非常に喜んでくれます。

ネジを取付するための下穴の深さや直径についてもかなり検討しました。なぜかというと、女性一人でも楽に組み立てられるように…という想いがあったからです。この点はスチール製のものよりもやわらかい真鍮製のネジを、取付の際に傷めないようにすることにも役立っています。

—— パッケージのデザインについても、教えてください。

組み立て式の家具は、何の変哲もない箱に収められるのが当たり前だと思います。

でもLINDEN BOXのパッケージには持ち手をつけて、一つひとつをアタッシュケースのようにすることで「持って帰る楽しみ」も演出したいと考えました。家具を組み立てること、自分でDIYをすることって、どこかワクワクしませんか?お店で気に入ったLINDEN BOXを買って、それを自分で提げて持って帰る…というプロセスにも、楽しさを感じてもらえればと思ってこのようなパッケージにしました。

さらに、持って帰っていざ組み立てよう…というときに、パッケージがカバンのように大きく開いて取り出せるところも、気分をより高揚させてくれるのでは、と思います。

—— LINDEN BOXをどんな空間や用途で使ってほしいのか、デザイナーからの提案はありますか?

LINDEN BOXで、色とりどりの箱を積み重ねる楽しさ、見せる楽しさを味わってほしいと思っています。3種類のサイズと5色のカラーを組み合わせることで、何百通りものコンビネーションが生まれます。単色でコーディネートするのももちろん良いですし、さまざまな色とサイズをあえて組み合わせて、昔、積み木遊びを楽しんだような感覚でも、バリエーションを楽しんでいただきたいです。

5色全てのカラーを一緒に組み合わせても統一感が出るカラーリングですから、どの色を組み合わせてもサマになると思います。ぜひLINDEN BOXで、インテリアを自由に彩ってください。