minä perhonen × MOHEIM - 後編
デザイナー・皆川 明氏が1995年に立ち上げたファッションブランド「minä」。2003年には「minä perhonen」に名前を変え、ファッションだけでなく、インテリアなど、暮らしに寄り添う様々なものに活動を広げています。
MOHEIMとのコラボレーションが始まったのは2021年。SWING BIN “choucho”モデルを皮切りに、2023年にはサイズから持ち手まで minä perhonen」仕様のLINDEN BOXもリリースされました。
MOHEIM STORY
「minä perhonen × MOHEIM – 前編」より
竹内
SWING BINのコラボレーションの件が一段落したときに、皆川さんと田中さんにMOHEIMのオフィスにお越しいただきました。そのときに皆川さんから、次のコラボレーションのアイテムに「LINDEN BOXがいいんじゃないの」とおっしゃっていただいたと記憶しています。
田中
SWING BINに限らず、何かご一緒したいなと思っていました。STANDING MIRRORやTROLLEYも気になっていましたね。でも、すでにあるものとのコラボではなく「もう一歩」踏み出せたらいいなと考えていましたし、いまもそう思っています。
竹内
第二弾のコラボアイテムとして生まれたのがLINDEN BOXですが、デザインやサイズなどminä perhonenのこだわりやアイデアが随所にちりばめられています。まずはサイズですが、MOHEIMの通常タイプよりも大きいものになりました。このこだわりについてお聞かせください。
田中
このLINDEN BOXをminä perhonenモデルとして製作すると考えたときに、私たちの洋服やバッグなどを収納することを想定することからはじめました。特に「egg bag」はスタート当初から長年シーズンごとに展開しているロングセラーで、コレクションしている方も多くいらっしゃいます。そんなアイテムにシンデレラフィットする収納があればいいなと考えました。
開発の段階で本当にいろいろなサイズのものを試作してくださって、結果として egg bag はもちろん、いろいろなものが収められるボックスに仕上げていただきました。
竹内
minä perhonenはたくさんステキなテキスタイルデザインをお持ちですが、そのなかから “run run run”、“mermaid”と “soda water”の3種を選んだのはなぜでしょうか? また、両面ともグラフィックにするのではなく、片面は単色にした意図についても教えてください。
田中
LINDEN BOXはスタッキングできるのが一番の特徴ですよね。ですので、テキスタイルのように積み重ねても一つの景色になるようなデザインを選びました。さらに、開発を進めていくなかで、木の素地を活かした印刷もできると伺い、そこも意識してセレクトをしましたね。
はじめは両面ともグラフィックにしてもよいのでは…とも考えました。ただ、たくさん収納するものがあり、このLINDEN BOXを多く使うということになったとき、柄ばかりじゃなく気分や部屋の雰囲気に合わせてアレンジできるのもいいのかなと想像しました。購入された方のセンスや想いで置く向きを変えたりして、柄をアピールさせたり、色だけを見せたり…インテリアや家具の一部として使ってもらえるといいなと思います。
竹内
おっしゃるとおりの意図をユーザーも楽しんでいるのを、Instagramの投稿などで目の当たりにしています。開発を始めた当初は、柄と単色とを組み合わせるというアイデアは我々側にはなかったので、コラボレーションをすることで想定していたものより何倍も良いものができると実感しました。
持ち手はテキスタイルのデザインを連想させる形にくりぬきましたが、絶対に目に留まる特徴ですね。
田中
このようなタイプのボックスで、柄以外にどこで特徴づけられるか…と考えると、やっぱり持ち手以外にはないですよね。かわいらしさはもちろんですが、手触りにもこだわっていただいて、この部分を手で持って快適に運んだり動かしたりできる機能もちゃんと備えたものに仕上がりました。
竹内
そして、今回、田中さんの発案でキャスター台の「FLAT DOLLY」も誕生しました。
田中
男性はキャスターがなくてもあまり不便に感じないのかもしれませんが、引き出して持ち上げるという使い方や動きを考えたときに、キャスターがあるのとないのとでは使用頻度が全然変わってくるんじゃないかと。
もともとLINDEN BOXは軽いものでしたし、今回私たちの希望でレギュラーのものよりも大きいサイズになったがゆえに、中に収納するものも多く、重くなりますからね。FLAT DOLLYというキャスター台を実現していただいて、感謝しています。
竹内
発売してから、お客様の反応などはいかがですか?
田中
発売当初は、お子様連れのお客様に多くご購入いただきましたね。子どもたちのおもちゃ箱として使っていただいたり、洋服を入れたり。特に、お子様の服ならサイズ的にちょうどワンシーズン分ぐらい収納できると思うので、そのような使い方をしてもらえるといいのかなと感じています。
竹内
今回のLINDEN BOXを作るにあたって、新しい素材の開発にもチャレンジし、minä perhonenのコアでもあるテキスタイルのデザインを忠実に印刷で再現することにも注力しました。
田中
私たちが布を作るときも、生地を作る工房に足を運んで、携わる方々と直接膝をつきあわせて会話をしながらものづくりをしています。そのなかで、改善しなければならない点など、共に乗り越えないといけない壁が出てくることは必要不可欠なことだと思っています。そういった取り組みを一緒にしてくださる方々と、プロダクトに落とし込むお仕事ができるのは大変ありがたいです。
また、MOHEIMの母体の株式会社プラスティックスは、アクリルなどの樹脂加工を原点としていると聞いて驚いたのですが、一つの素材にこだわらず、樹脂加工の技術やマインドをもって新しいプロダクトを生み出しているのはイノベーティブだなと感じています。
竹内
田中さんご自身が使ってみて感じた、コラボレーションモデルのSWING BINとLINDEN BOXの魅力について教えてください。
田中
SWING BINは、やはり初めて見たときの第一印象が今でもずっと魅力だと感じています。シンプルな機構なのにきれいなフォルムと色合いで、ゴミ箱としての存在感はあるけれど美しい佇まいとして部屋に納まるところですね。
LINDEN BOXはスタックしても、横に並べても、これらの柄が永遠に続いていくところがポイントです。あとは素材に触れたときに感じられるテクスチャー感…つまり、木の柔らかさが活きた仕上がりになっているところも気に入っています。
皆川も「いいのができたね。かわいいね」と言っていました!
竹内
またこれからもminä perhonenとのコラボレーションを続けていけたらと思っています。先ほど田中さんが話してくださったように、今度は「ゼロベース」から何か生み出せたらいいな、というのは私たちも同感です。今後MOHEIMに期待することがあればお聞かせください。
田中
MOHEIMは日々の暮らしにまつわるプロダクトで「欲しかったけれどいままでなかった」と感じるようなアイテムを探されて創られている印象です。プロダクトを最終形に落とし込むまでの検討もかなり重ねられていて考察が深いと思いました。竹内さんのトータルの世界観や統一感も確立されていると思うので、それがより広がっていくことにも期待しています。
竹内
minä perhonenは「せめて100年続くブランド」という理念を持っていらっしゃいます。私自身もブランドでいちばん大切なことは「つづく」ことだと思っているんです。今回の開発の過程で、リクエストや想いを直に受けるなか、細部まで妥協しないminä perhonenのこだわりに触れました。そして、世界観を保ちながら、ブランドを「つづけて」世に発信していくためには、「こだわる」ということがどれだけ大切か、というのをあらためて感じることができました。MOHEIMも100年つづくブランドにしていきたいと気を引き締めています。
田中
100年と言わずに(笑)。
竹内
そうですね、ありがとうございます。100年、200年つづくブランドを目指したいですね。
※ minä perhonenとMOHEIMのコラボレーションモデルはminä perhonenの一部店頭およびオンラインショップのみでの販売となります。MOHEIMでは販売しておりません。
About minä perhonen
デザイナーの皆川 明氏が立ち上げたブランド。1995年にファッションブランドとして始まった「minä」は、2003年「minä perhonen」に名前を変え、ファッションだけでなく、インテリアなど、暮らしに寄り添う様々なものに活動を広げています。
ブランド名の「minä」は「私」、「perhonen」は「ちょうちょ」を意味します。デザイナーがフィンランドを旅する中で、そのライフスタイルやカルチャーに共感し、フィンランド語で名付けられました。
minä perhonenのものづくりの根幹にあるのは、オリジナルのテキスタイルを中心とした素材からのデザイン。テキスタイルはブランド設立以来ずっとインハウスのデザイナーによる手作業での図案作りをつづけています。
田中 景子(たなか・けいこ)
designer / CEO
2002年にテキスタイルデザイナーとして入社。手作業での制作による大胆な構図と繊細な表現の図案を発表し続けている。手がけたテキスタイルは、ニューヨークの Cooper Hewitt、Smithsonian Design Museum に収蔵されている。
様々な企画、コラボレーション、内装等にデザインを提供している他、国内外の各産地に赴き、それぞれの産地やメーカーの個性を生かしたものづくりを積極的に行う。デザイン活動を通じて、社会への貢献と個人の喜びを増やしていけるよう、minä perhonenの第二走者としてブランドの活動の場を広げている。
https://www.mina-perhonen.jp/
https://www.instagram.com/mina_perhonen.jp/