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TROLLEY

実用性とデザイン性を兼ね備え、かつ優美な存在感を放つTROLLEYはMOHEIMの家具の中で一番人気。シンプルで美しいデザインながら、天板を取り外してトレイとして使える機能的なキッチンワゴンです。
キッチンとリビングを結ぶのはもちろん、ワーキングスペースでも使いたくなるTROLLEYのこだわりを、デザイナー・芦沢啓治氏が語ります。
TROLLEY

 

シンプルに、そして、優美に。

今までありそうでなかった、キッチンワゴンTROLLEYで、
使う気分を軽やかに、置かれた空間をより美しく。
日常の煩わしかった動線が、スマートに変わります。

 


PRODUCT STORY Vol.5

—— MOHEIMから芦沢さんにTROLLEYのデザインをオファーさせていただきましたが、それを受けてどう思われましたか?

MOHEIMのクリエイティブディレクターである竹内氏とは、2010 年のミラノ・サローネのサテリテ会場に出展したことがご縁で、その後は同志のような気持ちでお付き合いをしています。

彼は、私のデザインフィロソフィーやスタイル、開発のアプローチの仕方を「機能的でミニマル、かつ純粋なものづくりの視点から生まれる」と理解して、非常にリスペクトしてくれています。

オファーをいただいたとき、MOHEIMの哲学を共有できるデザイナーとコラボレーションをし、ブランドの世界観を広げたいという想いがあるということが理解できました。また、竹内氏のヴィジョンが明確に反映されているMOHEIMとのお仕事は非常に魅力的でしたので、喜んでご一緒させていただくことになりました。

—— キッチンワゴンというアイテムをデザインすることになった経緯を教えてください。

MOHEIM側からご要望をいただいたのが始まりです。

デザイン性が高いもので、さまざまなシーンで使えるキッチンワゴンが市場にはあまりありません。また、価格もほどよく、パッケージをコンパクトにするためにもノックダウン式のものにするということも重要でした。その全てをかなえるキッチンワゴンをリリースしたいとのオファーをだったのです。

一緒にコラボレーションして良いものづくりがしたいという気持ちと、キッチンワゴンをラインナップに加えたいというタイミングがぴったり合ったのだと思います。

—— TROLLEYの特徴的なポイントを芦沢さんの視点で教えていただけますか?

日本の居住空間は欧米などに比べて、どのスペースも非常にコンパクトに設計されていることが多いです。そんなこぢんまりした空間でも、小ぶりで扱いやすいデザインを目指しました。またキッチンやダイニングに限らず、さまざまな場所やシーンで使える便利さも魅力にしたかったのです。

丸みを帯びたフォルムは優しい印象を与えながらも使用しやすく、またトレイにたくさん物を置けるように、と考えました。カラーについても、様々なシーンになじむようにと現在は白と黒の2色の展開になっています。

—— 機能面ではどうでしょうか?

3本脚に仕上げることで間口を広げ、軽快さと使い勝手のよさを実現させました。

結果として、扱いやすく機能的なプロダクトになったのではと感じています。また、天板部分を取り外してトレイとして使えるところはユニークですし、機能面で絶対に実現したかった点です。

—— 天板を取り外してトレイとして使うアイデアは、どのように思いついたのでしょうか?

キッチンワゴンを使うとき、下の段にストックしておくもの、上の段にダイニングやデスクに運ぶものが置かれることになります。なので、それぞれ天板が取り外せることが役に立つのではないかと考えました。

—— トレイ単体としてこだわった点はありますか?

トレイとしての佇まいがあることでしょうか。薄いエッジや、そのつくりの丁寧さにはこだわりが実現できたと思います。また、伝統的技術(越前漆器のお盆をつくる技術)を取り入れることができたのも非常に幸運だったと感じています。

—— デザインするにあたってこだわったところを教えてください。

まず、デザイン面で譲れなかった点は、フィニッシング(塗装)でした。

キッチンやダイニングで使用するものはメンテナンスを簡単にするために、ツルツル、テカテカしたものが、大半だと感じていました。TROLLEYをデザインするにあたっては、光沢を抑え落ち着きがあり、素材感が出てくるような仕上がりにしました。

—— 開発で難しかった点や、試行錯誤を重ねた点はありましたか?

形やその向きなど、TROLLEYの印象をアイコニックなものにしながらも、使いやすいデザインにしたいという考えがあったので、取っ手のデザインについてはかなり時間をかけました。

そして、安全性も重要で、考慮しなければなりませんでした。子どもの顔や目に当たらないように配慮し、取っ手の先端を外側に向けないようにしました。さらに、持ちやすさを優先しながら、できるだけ特徴あるデザイン性を保つよう、形状や曲がり具合といった細かなディテールを突き詰めたのです。

また、キャスターについても、スムーズに動くのはもちろん、フレームのカラーにもマッチし、できるだけミニマルなものを選びました。TROLLEYのデザインにしっくりくるキャスター探しは、実は非常に時間がかかった点です。

—— デザイン以外での難点などはありましたか?

TROLLEYをノックダウン式にすることは、はじめから重要なテーマとしてありました。パッケージをコンパクトにすれば、配送や在庫管理の点で高いアドバンテージになるからです。

ただし、ノックダウン式の構造を実現することは、簡単ではありませんでした。見た目が美しい構造が、必ずしも製造の合理性と合致しているわけではないので、開発チームと一緒に試作やスタディを幾度となく重ね、かなりの時間をかけて、ようやく理想の構造にたどりつくことができました。

振り返ってみると、これを実現できたことはかなり大きいと思います。

—— ほかにも、TROLLEYが評価されるべき点はありますか?

39,000円(税抜)という価格は、クオリティ面、デザイン面、そして機能面から考えても非常にリーズナブルだと思います。お客様からもそれらの点が評価されています。

—— デザイナーから提案するTROLLEYの使い方などはありますか?

TROLLEYはキッチンワゴンというカテゴリーのアイテムですが、さまざまなシーンで活躍するので、十人十色の使い方が考えられるのではないかなと思っています。リビングのソファサイドで使っても違和感がないですし、デスクまわりでも重宝します。

会社のミーティングなどでお茶をサーブするときにも実際に使われています。使う場所を選ばないことと、その便利さが非常に魅力的だと感じてもらえるはずです。ぜひ様々な場所に、自身のペットのような感覚でつれていっていただけると嬉しいですね。

—— これからのMOHEIM とのコラボレーションについて、お話しください。

MOHEIMのある生活、そしてそのインテリア空間には、普遍的な良さがあります。

小物から家具まで永く使われるアイテムをつくり出すMOHEIMに、デザイナーとして携われるのは幸せなことですし、これからも一緒にものづくりができればと思っています。

現在開発中の新商品はスツールですが、今後はTROLLEYの周りに置いてもらえるようなアイテムのコラボレーションを、MOHEIMらしい世界観を保ちながら重ねていきたいです。