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SIGNS

2019年8月の発売から、飲食店や宿泊施設をはじめ、一般家庭でも使えると人気を博したピクトグラム、RESTROOM SIGN。
翌年夏、WASH HANDやSHOWERなどの新たなサインが加わって全13種のSIGNSとして生まれ変わりました。プロダクトにこめられた想いを語ります。
SIGNS

 

ほんの小さなサインが
自身のセンスを表現するツールになる

ミニマルデザインのピクトグラム「SIGNS」は
取り付けるだけで、その場所をより上質でスマートな空間へ。

 


PRODUCT STORY Vol.3

—— ピクトグラムサインを商品化しようと思ったきっかけはなんだったのでしょう?

そもそも私自身がピクトグラム好きというのが一番大きな理由です。街中などで素敵なサインを見かけると、ついつい惹きつけられてじっくり観察したりしてしまいます。

洗練された商業施設や公共のスペースに行くと、必ずといっていいほど美しいピクトグラムが表示されています。それを見ると「ちゃんとディテールにこだわって、空間のことを考えてるなぁ…」と、感心したり、感銘を受けたり…。ピクトグラムのデザインは自分の感性をいつも刺激してくれるんです。

—— 例えばピクトグラムもそうですが、フォント1つとっても、すごく惹きつけられたりするものってありますよね。

ピクトグラムって単純な表示ですけれど、サイン表示が1つあるだけで空間が良質になったり、雰囲気が引き締まったり、逆に野暮ったくなったり…と、その場の世界観を決定することがあります。

だから、案内表示というものの存在は小さいようでいて、すごく大きな役割を果たす…。つまり、ピクトグラムはインテリアや空間デザインにとって、とても重要な要素になると思います。

—— デザイン性の高いピクトグラムは、どのようにつくられているんでしょうか?

商業施設や公共施設で見かけるデザイン性の高いピクトグラムは、その施設の設計や建築計画のときに、サイン計画担当のデザイナーが、建物ごとにデザインしています。

「たかがサイン、されどサイン」で、ちゃんとグラフィックデザイナーに依頼をして制作してもらっていることがほとんどだと思います。つまり、反対に考えると「このビルにあるピクトグラムいいなぁ…」と思っても、そのサインはそこの建物のオリジナルですから、一般には手に入れることはできません。

—— そう考えると、ここのサインを自分も使いたいけど、無理なのか…って、がっかりしてしまいますよね。

そこなんです。大きな商業施設だけじゃなくて、個人経営のカフェなどの飲食店や、いま増えている小さいホテルやゲストハウスでも、ピクトグラムのサイン需要はあるはずです。

シンプルでクリーンなデザインのサインがあったら、喜ばれるのでは…と考えたときに「だったら、自分のデザインで商品化したらいいじゃないか!」と思いつきました。

しかも、MOHEIMの母体である「株式会社プラスティックス」は樹脂加工を得意としているので、開発はスムーズに進み、量産にいたるまであまり時間がかかりませんでした。

—— SIGNSが商品化され、反響はどうでしょうか?

非常に多くの方に喜んでいただいています。国内はもちろんですが、海外にも結構な頻度と数でリピートオーダーしてくれるお店もあって、手ごたえを感じています。

私にとって意外だったのは、お店や施設というところだけじゃなくて、一般家庭の需要がかなりある、ということでした。

Instagramなどでも、SIGNSのことを投稿してくれているユーザーの方は多くいらっしゃって、自宅のドアなどに取り付けた写真と一緒に「このさりげない感じがいい!」とか、「かわいいし、主張しすぎないのにわかりやすいデザインってすごい!」と褒めてくれています。MOHEIMのInstagramアカウントでもSIGNS関連の投稿をすると、一気に「いいね」の数が増えます(笑)。

最近のインテリアは、真っ白でクリーンなデザインに統一することが多いです。そんなところにゲストとして招かれたら…トイレに行きたいとき、手を洗いたいとき、どのドアがそこに通じているか、分からないことが多いのではないでしょうか。

—— 確かに、トイレだと思って開けてみたら寝室だった…とか、「おしゃれな家あるある」ですね。

そんなとき、「トイレはここ」って分かるサインがドアについていれば、家の主はまどろっこしい説明をする必要もないですし、お客さんも一目で場所が分かります。でも…せっかくのこだわりの家や空間、インテリアの雰囲気を壊してしまうような…、自分が納得できないサインを取付するのは、イヤですよね。

—— デザインするにあたって意識したことなどはありますか?

MOHEIMのピクトグラムの役割を考えたときに、おしゃれなデザインであればいい、というわけではないと思うんです。

奇をてらったものや、とがったデザインのものはまず考えられません。やっぱり、どんな場所にもフィットする、シンプルで、クリーンで、やさしくて…、あらゆる人たちに「いいな」と思ってもらえるものにするということを第一に考えました。

はじめはRESTROOM SIGNのみで発売していましたが、そのときに、男女のサインだけでなく、ジェンダーニュートラルとアクセシブルも取りそろえることで、文化や背景を問わずに受け入れられやすいものを目指しました。特に、いま広く議論されている、ジェンダーに関するサインを取り入れたのは、「いまの時代のスタンダードとは何か」を考えたからです。

2020年7月に、手洗いとシャワーのサインを追加しました。また色についても、それまでは白と黒の2色展開だったところに、グレーを追加したんです。特に白系で統一するインテリアには、この優しい色味のグレーがなじみやすいと評判です。

2020年9月には、さらに8種のピクトグラムを加えて、新生活様式に対応したハンドウォッシュや、商業施設などでよく使われるWi-Fiや禁煙などもラインナップしました。デザインを統一したもので、ここまでのバリエーションを取りそろえた市販のピクトグラムは、他にはないのではないでしょうか。

—— こちらのサインは、種類によってパーツが分かれているものがありますよね?取り付けの際のバランスが難しいのではないでしょうか?

実は取り付けがすごく簡単なのもこのSIGNSの特徴です。アクリル製本体に、すでに両面テープが取り付けてあるので、そのテープをはがせばすぐに取り付けができます。

それとパッケージに注目いただくと分かると思うのですが、実はこの台紙が取付の際の治具(ガイド)になっているんです。取り付けしたい場所に台紙をまず当てて、位置のバランスなどを調整してから、台紙のガイドにサインを入れて貼り付けるだけで、取り付けは完了です。

——デザインだけじゃなくて、取り付けの方法まで考えたパッケージデザインになっているという事ですね。バリエーションとしては、2020年9月にひとまずSIGNSファミリーが全員集合したのでしょうか?

RESTROOMだけが昨年発売になり、「まだまだほんの一部がはじまったばかり」と思っていたのですが、ようやく自分がそもそも考えていたサインの数々が一堂に揃うことになりました。全部で13種の商品ラインナップです。

バラエティが豊富になり、組み合わせの幅が広がったので、使う人にはそれぞれのシチュエーションに合わせた、思い思いのコンビネーションを楽しんでほしいですね。

それぞれが横4~8cm、縦7~10cm程度の小さなアイテムであるにもかかわらず、取り付けるだけで、空間の雰囲気がガラリとかわり、より美しくなる、という大きな役割を果たすので、実際に使って実感していただければと思います。